肺癌は一つだけでなく、複数の病変が見つかることがあります。

検診や通常の診療において胸部X線写真上、異常な陰影を見つけてそれをCTなどで精密検査をする時に、目的とする陰影の他に別の異常陰影を見つけるようなことを言います。

肺癌もいろいろな形態、形を呈することがあります。よくあるのは丸い陰影、あるいはそれに類する陰影です。つまり丸い陰影がいくつかあると確認が可能となります。他には、このシリーズで最初の頃に触れましたが、肺の入り口に近い気管支の中に肺癌ができる場合は、胸部X線写真では分からないことがあります。この時に気管支の中の肺癌がたとえ小さくても、さらに痰が詰まることで気管支の内腔を塞がれると、肺の末梢まで、つまり肺の奥まで空気が入らなくなる。その結果、肺癌の大きさよりももっと広い範囲に異常陰影が出てくるようになります。しかし痰がなくなると、またもとの陰影が分からなくなるなど、検査時期によっても陰影の見え方が異なってきます。さらには前回にお話した、小さく、ある大きさまでに手術をすれば治る、つまりこの肺癌で亡くなることはない、と分かるような病変が二つどころかもっと多数検出できるような場合もあります。

以上のことは肺癌が一つ診断されても、他の領域にも注意をして診断し、治療法を考えなければならなりません。また肺癌が治療により治癒すれば、これで終わりではありません。何年か後に別の肺癌が、別の場所に出現することがあります。左肺の癌で手術をして何年か経つと、今度は右に癌が出てきたということは珍しくありません。

肺癌の発生はタバコを吸わない人でもありますが、タバコを吸う人の方がリスクが高いことが分かっています。タバコよる癌の発生のリスクは肺だけでなく、他の臓器でもリスクが高くなります。なかでも注意が必要な癌の一つは膀胱癌です。タバコによる発癌物質などが血液に入って全身を循環し、最後に尿として排泄されるために膀胱のリスクが高くなるためです。いくつかの肺癌の治療を年の単位で行い、それらは治癒したのに、その後膀胱癌が発症することがあります。

昔は体のどこの部位であれ、癌が発生すれば多くの場合、それにより亡くなっていました。ところが治癒することが増えてくると、これで癌は終わり、ということではなく、新たな癌に注意する生活が始まります。

ホーチミン市より東方、海岸線の都2009 #21ベトナム市ファンティエットのホテル

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