前回は肺癌の多発に関してお話しましたが、今回は咽頭、喉頭の癌をお話します。咽頭や喉頭と言う言葉はあまりご存知ではないのではないでしょうか。さて、耳鼻科という言葉をご存知かと思いますが正式な名称をご存知ですか。正式には耳鼻咽喉科といいます。耳と鼻はさておいて、咽喉とは。咽頭とは鏡の前で口を開けると鏡に口の奥が見えます。ここが咽頭です。咽頭はさらに上中下に分かれ、口を開けて鏡で見える、つまり口の奥を中咽頭と言い、その上方、鼻の奥に続く部位を上咽頭、その下方、のどの方へ続く部位を下咽頭と言います。この咽頭は口から食道や気管へ続く部位となります。

一方喉頭は下咽頭から気管に移行する部位にあり、体の表面からはいわゆる「のど仏」として確認できます。食物を飲み込むときには気管に入らないように蓋(ふた)をしますし、息をする都には空気を気管から肺へ送り込みます。ここには声帯があり声を出す器官になります。

この咽頭や喉頭に発生する癌の原因にはタバコがかなり影響します。咽頭はタバコに加えてアルコール、特に度数の高いものを長期間摂取することでリスクが高くなります。喉頭は食物は通りませんが空気を気管に入れ、肺まで送り込むのでタバコの煙の通り道になります。この二つの領域の癌はタバコとアルコール摂取に関係することから男性に多く発症します。治療としては初期であれば放射線治療で治癒しますが、他には抗癌剤治療や手術もあります。ただ喉頭癌のように喉頭、声帯を切除すると声が出ませんし、のどに穴があいたままになります。

この領域の癌は初期であれば治癒するので、一カ所が治ってもまた別の領域に発生することがあります。タバコとアルコールということからは舌癌や食道癌の発症にも関係し、複数個所の発症、すなわち多発癌が発生することが少なくありません。

有名人の喉頭癌で亡くなった方には立川談志さん、治った方では林家木久扇さん、つんくさんがいらっしゃいますし、咽頭癌では亡くなった方では大橋巨泉さん、治った方では坂本龍一さん、輪島大士さんがいらっしゃいます。

のどの違和感や飲食時の痛みなど、いつもと違う、おかしいと思ったら専門医にご相談ください。

クレムリン宮殿、モスクワ2010#22モスクワ

ロシア

過去の記事一覧