2005(平成17)年、我が国はたばこ規制枠組み条約(FCTC)というタバコを規制するための世界的な条約の締約国となっています。タバコの害から人々を、特に若い人々を守るためですが、そこには喫煙の危険性についての周知啓蒙やテレビなどの広告原則禁止などの条項があります。したがってタバコのコマーシャル、いわゆるCMは制限されるため、我が国でもタバコCMはなされていません。

タバコCMに関して、思い出すことがあります。この私の話のシリーズの第5回と第6回でお話しました1978(昭和53)年、パキスタンに行った時のことです。3ヵ月ほどの登山活動が終る頃に合わせ日本から家内がパキスタンに来ました。その後、他の6名の隊員と別れ、トルコのイスタンブールへ行くことにしました。パキスタンの首都、イスラマバードからカラチまで行き、そこからイスタンブールへ向かう行程です。夕方遅くにカラチに到着。そして搭乗ゲートへ向かいます。まず家内がゲートを通過しました。もうそこはパキスタンの国外です。続いて私が通ろうとしました。事件はそこで起こりました。なんと私のパスポートが長期間滞在していたためか、出国の手続きが不十分だと言われました。そこで係官が私を案内して、というよりは連行して奥の方へ連れていかれました。当然、家内はパキスタンの国外なので、そこへ留め置かれて私一人が連行されたのです。空港の奥の方の大きい部屋へ行き、横に国旗がある大きい机の向こうに黒い肌の、偉そうな、本当に高官という人がいます。パスポートが不備だと言われました。私は頭の中が真っ白くなるほど驚きました。どうなるんだろう!そこで黙っていたり、アイ・アム・ソーリーなどと言うとダメだろうと考え、とにかくしゃべらないといけないと決心しました。すなわち、「日本から山登りに来た。過去、多くの日本人グループが山登りに来たが、こんなトラブルは聞いたことがない」のようなことから始め、英語が得意でないにも関わらず、話続けようと、「パキスタンの空は青く、美しい。また近いうちに山を楽しむために訪れたい」など、口から出まかせ状態でした。向こうも諦めたのか、「分かったから、書類を書け」と一枚の紙を渡されました。指示通り氏名や国籍、パキスタンへ来た目的などの他、父親の名前や宗教なども書くと、大きいスタンプを押して「OK」と許されました。家内のところまで行くと、家内も本当にほっとした様子でした。無事にイスタンブールへ向かった次第です。

この話を数年後に知り合いにした時にこう言われました。「スピーク〇〇〇!」と言った?、と。〇〇〇とは外国タバコの名称です。当時はテレビで国内外のタバコ会社がCMを流していました。その中である外国のタバコ会社が、映画の「大脱走」や「荒野の七人」などに出演していた有名俳優を使うシリーズがありました。そのシリーズの一つに私と同じようなシーンが出てくるものがありました。やはりその俳優が肌の黒い偉い人の前に連行され、困った最後にタバコを取り出し、一本をその高官に渡すと、もらった方が笑顔になって許す、そして俳優がカメラに向かって「スピーク〇〇〇!」と言うのです。

おおらかな時代でした

2011#23イグアスの滝

 

世界三大瀑布の一つ

イグアスの滝、アルゼンチン側とブラジル側とから見物可能

ブラジル

 

 

 

 

 

 

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