1988(昭和63)年、WHO(世界保健機関)は531日を世界禁煙デーと定め、禁煙を推進するための記念日としました。それに続き我が国では1992(平成4)年から、531日から66日までの一週間を禁煙週間と定めました。

 禁煙週間にはテーマがあり、2016(平成28)年からは「受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~」になっています。それ以前のテーマは毎年変わっていて、順次遡ってみると、「2020年、スモークフリーの国を目指して~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」、「オールジャパンで、たばこの煙のない社会を」、「たばこによる健康影響を正しく理解しよう」、「命を守る政策を!」等々が掲げられてきました。この世界禁煙デー、禁煙週間には多くの地域や施設で禁煙についての啓蒙や活動が展開され、テレビや新聞のニュースで見た方もいると思います。

 また、世界禁煙デーに先立って今年の4月からは改正健康増進法が全面施行され、飲食店やホテルなども原則屋内禁煙になりました。ただ、規模の小さい店舗で喫煙が可能な旨の文書を店頭に掲示すれば未成年の立ち入りは禁止になるものの、喫煙は可能となります。しかしアルバイトなどの店員も未成年は立ち入りができません。また新規に開業する飲食店は禁煙にしなければなりません。そんな中で国立がん研究センターなどのチームが行った調査では、対象となる人の87%が喫煙者という集団で、飲食店の完全禁煙に賛成する人が78%、バーの完全禁煙に賛成する人が65%だったそうです。タバコを吸う人も店での禁煙を拒否していないことの表れと言われています。

 さらに、前にこの欄でもお話したように、今の新型コロナ肺炎のリスクの一つに喫煙があります。県内でも喫煙所の閉鎖が報道されたように、全国的に三密の状態である喫煙所を閉鎖する動きが見られました。三密に加えて、推奨される手洗いに反して、感染の可能性のある指を口の周辺に持っていく行為の危なさはお話した通りです。新型コロナウイルスは人間の体の細胞にあるACE受容体という「穴」から細胞に入って感染を生ずると言われています。ACE受容体は人間の交感神経を活発化させる役割を持っていますが、この働きが行き過ぎることで炎症が起きやすくなります。タバコを吸うことでACE受容体を増やす働きも持っているようなので、人間の体を新型コロナウイルスに弱い体に変える働きをしています。新聞などの報道でご存知の方が多いと思いますが、中国の感染者では喫煙歴があると重症化する恐れが14倍も高いということが分かっています。

 新型コロナウイルス騒ぎも早く収束、終息して欲しいものです。昨今のこの状況から、今が禁煙のしどころと言えるのではないでしょうか。タバコを吸っている方にとってこの機会をチャンスに変えていただきたいと念願しています。

バンコク中心地区2006#18バンコク

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