先日県内の高校での防煙教室で高校生に、知って得するタバコの話、ということで講演しました。「禁煙」ではなく、タバコを吸わないように、との願いで「防煙」です。私は小学校から大学までタバコの話をする機会をいただきますが、その後、意見、感想を書いてくれることが多くあります。その内容は、当然ですが私が触れた事柄が中心になります。

私はまず、タバコは悪い、しかし吸っている人が悪いのではない、吸っている人が一番の被害者だ、吸っている人の多くはやめたいと思っているがやめられない、ということを伝え、一度吸い始めるとやめにくいものだと話します。このことを感想として書いてくれる生徒が多くいました。体に悪いものを何で吸っているんだ、と思っていたがやめられない、ということを分かってくれたようです。家人で肺気腫になって日々の呼吸で苦しんでいたのを思い起こした生徒もいました。

それからタバコを吸うとストレスが解消する、という、喫煙者がよく口にする言葉に触れます。大人のストレスには仕事関係、親の介護、家のローン、子供の教育、地域での交流など多くのストレスがあるでしょう。しかしタバコを吸って全てのストレスがなくなるのではないこと、タバコを吸ってなくなるストレスはタバコを吸いたい、というストレスだけだと説明します。ストレスは大人だけでなく学生や生徒、児童にもありますが、タバコを吸っていない人がストレスを解消できないのではない、ということを心に留めてくれています。世間ではよく言われますが、それは変だ、というのは考えてみれば当たり前だということでしょう。

この度は薬物のことにも触れるように前もって依頼されていましたので、タバコは薬物へのゲートウェイとの言葉も記憶に残ったようです。タバコにしても薬物にしても勧められたとしたら断ろう、と伝えました。断り方は、体に悪いから、とか、いけないことだから、とか言わず、「吸わないことにしている、やらないことにしている」と繰り返せばいい、と話ました。

高校生は今まで何度もタバコの害のことは聞いているようで、肺癌など体に悪いことは知っています。しかし摘出した肺の写真や、癌、肺気腫の画像を見てもらい説明し、よくわかったとの意見、感想をいただきました。喫煙者が入学できない大学や、就職できない会社などの紹介もしました。タバコをやめても吸ったつもりで毎日貯金すると、1年で15万円も貯まるので外国旅行もできる、というのは小学生でも喜んでくれます。

防煙教室の話を聞いただけで、全員が将来にわたってタバコを吸わなくなる、とは思えませんが、一人でも吸わないでいてくれれば幸いと思っています。立場が違う人が、また次に防煙の話をし、繰り返すことが将来のタバコを吸わない人を増やすことへの助けになると思っています。

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グリンデルワルトの村から

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