いわゆる「軽いタバコ」のフィルターの周りに小さい穴が並んで開いているのをご存知ですか。老眼になると見えないような小さい穴です。同じ銘柄のシリーズでは、ニコチンやタールの含有量が少なくなるほど、この穴が大きく、列も1列から2列、さらにもっと多列になっています。。タバコを吸っている人でも気がついていない場合もよくあります。この穴、何の意味があるのでしょう。

タバコの煙にどれだけのニコチンやタールが含まれるか、については国際的な測定方法が決められています。測定機にタバコをセットし火をつけ、機械が煙を吸引します。その時にフィルターに穴があるので、そこから余分に空気を吸い込み、その結果煙が薄まることになります。ウイスキーや焼酎の水割り、お湯割り状態です。ところが普通にタバコを吸う時に唇でその穴をふさぐ、あるいは指で持った時にその穴をふさぐことになります。車を運転中ならある程度深く咥えないとタバコが膝に落ちてしまいます。その結果、薄めるべき空気が入らないことになり、水割りとかお湯割りと思っていたのに薄めぬままのストレート状態になります。

それと国際的な測定方法では測定器がタバコの煙を吸い込むのは、1分間にわずか35mlを2秒間という極めて限定的な条件下です。35mlというと3cm少々のサイコロ分という、保育園児でも口に入るわずかな量です。

しかし実際にタバコを吸う人が、フィルターの穴をふさがず、しかもタバコを吸う量と時間をこの国際基準通りに吸っているのは見たことがありません。タバコを深く咥え、35mlどころかもっともっと多い量の煙を吸い込み、しかも絶え間なく吸う姿をよく見ます。これでは「軽いタバコ」を吸っていることにはなりません。

タバコのフィルターの構造にはもう一つのトリックがあります。フィルターを覆う紙を取れば分かりますが、口をつける方に見える白いものと、その奥の外からは見えない活性炭が入っているような灰色の部分の二つのものからできています。しかもこの二つの部分が同じ銘柄のシリーズで異なっています。つまり同じ会社の同じ銘柄シリーズのタバコでも、フィルター内部の構造が異なり、それを覆う紙にある穴の大きさ、列が異なっています。

つまりタバコの葉のニコチンやタールの量はあまり変わらず、フィルターで調整していると思わざるを得ません。同じ銘柄のいわゆる「軽いタバコ」を吸う人の方がきついタバコを吸う人よりもニコチンの摂取量が多い傾向があることが確かめられています。またタバコを吸う人もフィルターの穴をふさいだ方が「効く」、という人もいます。

極端に言えば吸う本数が同じであれば、どれを吸っても変わらないということになります。「軽いタバコ」は決して軽くありません。

首都サンファン郊外のモロ要塞

カリブ海の国、プエルトリコ
9e36f73236ffcd06859b0a27edb321fc

過去の記事一覧