前回のこのコーナーで、本院で先月4月からの禁煙外来開設についてお話しました。その際、受診者の方への禁煙外来としての受診期間や使用する薬の説明のためのパンフレットをお渡しして説明をしています。その他にも参考資料として、診察室入り口の壁の掲示物や診察室内で見えるタバコの見本なども用意しました。

まず診察室入り口横の壁の掲示物ですが、私が提供した喫煙に起因する病気に関する画像です。高校校内で掲示する壁新聞では脳血流の低下する状態が画像化されています。この写真はタバコを吸う人に1日禁煙をしてもらい、放射性医薬品を注射し脳血流を見ると脳の断面が赤色で表示され、血流が順調であることが示されます。その後、タバコを1本吸った直後に同じ検査をすると、赤色だった血流が青色で表示され、著明な血流低下が生じていることが明瞭に対比することができます。高校の保健体育の教科書では、病理解剖で摘出されたタバコを吸う人の黒い肺と、タバコを吸わない人の白い肺の比較できます。また、今年の2月に放送が終了したNHKの「ガッテン!」で、昨年5月の放送でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について紹介された時のテレビ画面も掲示しています。タバコを吸うことにより発症するCOPDでの、肺が溶ける状態である肺気腫や、タバコによる害と言えば子供でも知っている肺癌の写真が紹介されました。

診察室ではこのコーナーの昨年10月(No.34)に紹介した、軽いタバコの嘘、に関して実物のタバコを並べたものを用意しました。タバコの銘柄であるメビウスのタール10㎎から1mgまでの5種類の1本全体を5本と、同時に各々のフィルター部分の覆いの紙を剝いだものも並べました。このメビウスのシリーズの5種類ではフィルターに開いた穴は1列ですが、「きつい」10㎎のものでは穴の大きさが小さく、タール含有量が少なくなる、いわゆる「軽い」1㎎のものになるにつれ穴が大きくなっています。大きい虫眼鏡を用意して見ても小さいものは確認がしづらいような大きさです。またフィルター構造は口をつける方の白いものと、その奥にある活性炭を含むものの2種類で構成されていますが、各々の長さは同一です。ただ、活性炭が含まれる部分の活性炭の含有量がタール含有量により、明らかな段階的な違いが確認できます。つまりニコチンやタールの量はタバコの葉で調整されているのではなく、フィルターにより調整されるのではないか、と類推される所以です。またタバコの箱に、タバコの害の説明文がありますが、その下に、さらに小さい字で、lightsやsuper lights、extra lightsなどの表現は、「健康への悪影響が他製品より小さいことを意味するものではない」と明記されるようになっています。タバコを吸う人もご存知でない方が少なくありません。

タンゴ発祥8aa433480b3b118c943b02c880b3351fの地、カミニート地区

ブエノスアイレス、アルゼンチン

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