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放射線科画像診断センター長の独り言    佐藤 功

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コロナ禍での新規癌患者     No.33(2021年9月) 

  

新型コロナ感染の拡大が私どもの生活が大幅に制限されています。ワクチン接種が進む中、まだまだ収束、終息が見通せない日々が続きます。この感染により病院での治療にも多大な影響があり、医療逼迫、医療崩壊などの言葉がマスコミで喧伝されています。

そのような中で、病院などの医療施設では新型コロナ感染症により、従来の通常診療にも大きい影響が出ています。その一つに昨年、2020年の癌患者の未発見、新規癌患者の減少が報告されています。

日本対がん協会は全国の32施設で、5つの癌検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸)の受診者が前年より30%ほどの減少となりました。従来の発見率からの推計で約2100の癌が未発見となっている可能性があるとしています。その他に別の病気の治療中に偶然発見される癌を併せれば、少なくとも1万人以上の癌が未発見となると報告しています。

また私の専門の領域では日本肺癌学会は学会の評議員、役員の所属病院や癌診療連携拠点病院などの2020年1月から10ヵ月間の調査では、例年との対比で肺癌新規患者、約8600人が診断されていないことになるとの推計をしています。さらに新型コロナ感染の治療患者数が多い施設ほど、肺癌診療への影響が大きいことが分かっています。この原因として、コロナ感染患者の受け入れで外来診療や病棟を縮小したことや、住民の方の癌検診受診控えの影響などが挙げられています。

このように癌発見数が減れば、当然早期発見の遅れにつながります。このシリーズの第1回でお話したように我が国の死因のトップは年間に40万人近くの方が亡くなる癌です。癌の早期発見が遅れることにより、治る癌患者の減少、すなわち未発見の癌が進行癌になり、その結果、癌での死亡増加が懸念されます。

日本対がん協会では検診(健診)機関は国のガイドラインにのっとった感染防止対策を徹底しており、定期的な癌検診を推奨しています。

また日本肺癌学会理事長の弦間昭彦先生は、検診施設では感染対策なされており、肺癌の進行度やその性格を把握することが重要である、としています。その上で、各地域のコロナ感染のまん延状況により、治療開始を急ぐべきかどうか判断する必要があると述べています。

癌に限らず今まであった病気は、今のこの時点でも待ってくれないことを考える必要があろうかと思います。

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