第四号   平成13年7月1日発行

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いよいよ夏がやってきました。皆さん、夏ばてしないでくださいね。今回は、ちょっと難しいお話です。

「なぜ膠原病になるの?」

膠原病は遺伝ではありません。しかし持って生まれた<素因:体質>はあります。その素因がある人に、<誘因:たとえば環境など>がからみ、<引き金>がきっかけとなって、免疫システムの変調を来し発症するといわれています。
引き金が何であるかは未だはっきりしていませんが、ウイルス感染、妊娠出産、ストレスなどが言われています。

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SLE:全身性エリテマトーデス  MCTD:混合性結合組織病 PSS:全身性硬化症
PM・DM:多発性筋炎/皮膚筋炎  RA:慢性関節リウマチ
JRA:若年性慢性関節リウマチ

では、免疫システムの変調を来すしくみについてお話ししましょう。

免疫

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自分を守るためのシステムを免疫といいます。人間の体は、外敵から自分を守るために白血球のなかのリンパ球がパトロールをしています。
リンパ球には、B細胞とT細胞があり、パトロールはT細胞がしています。

自己と非自己

Tリンパ球は、自分でない細胞(非自己)と自分(自己)とを、きちんと見分けることができます。

自分でない細胞:抗原を見つけると、パトロール中のT細胞は、B細胞にそれを伝え、抗体産生細胞とし、抗体(戦争のための武器)を作らせます。

また、T細胞は、サイトカインといういろいろな化学物質も出して、組織を破壊していきます。さらに、キラーT細胞といって、T細胞自体が抗原を攻撃していきます。

こうすることによって、非自己細胞が体の中で増殖していくのを防ぎます。

 

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では、膠原病の患者さんでは、どうなっているのでしょうか。

自己に攻撃する!

膠原病の患者さんは、自分(自己抗原)に対して攻撃を仕掛けます。
すなわち、自己を非自己と認識してしまうのです。
たとえば、

  • 慢性関節リウマチ:自分の滑膜
  • 全身性エリテマトーデス :自分のDNA
  • 筋 炎     :自分の筋肉

そして、それぞれの病気に特徴的な症状が見られるようになるのです。

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そうです!膠原病とは、免疫が異常となり自己を攻撃する病気なのです。

膠原病の治療は、上の図で示されるT細胞、B細胞、サイトカインのいずれかを薬で押さえるような治療です。

しかし、残念ながら現在の医療では、自己反応性T細胞や自己反応性B細胞だけを選択してやっつける事はできません。正常のT,B細胞と自己反応性T,B細胞の両方を同じ割合でやっつけてしまいます。
このため、完全に自己反応性T,B細胞をなくすことは不可能です。ここが、さじ加減の必要なところです。

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現在、皆さんは、ステロイドホルモン、免疫抑制剤、抗リウマチ剤を、いろいろな組み合わせで飲んでいると思います。
同じ病名でも薬の量も違いますし、免疫抑制剤の治療も違います。これは、個人個人で、免疫の状態や薬の腸からの吸収の程度や、体の臓器の状態が違うからです。
主治医は検査データーや症状に合わせて細かく調節しています。薬については、主治医の意見を十分に聞いて、間違いなくきちっと飲んでください。
それぞれの薬には、長所と短所があります。長所をしっかり生かし、短所があまり出てこないように定期的に体のチェックをしていく事が重要です。
それぞれの薬の特徴は主治医にしっかり聞いてくださいね。
最近はどんどん新しい免疫抑制剤が開発され、研究されています。また、サイトカインに対する治療ももうすぐ認可されます。膠原病の治療は以前に比べ、治療の選択の幅が広がっています。

膠原病という慢性の病気になったことで、ショックを受けている方も多いと思います。しかし、病気を理解し、うまくつきあっていくことによって、体をいい状態に保つことができます。
 

 前向きに、我々スタッフと一緒に進んで行きましょう。