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新年あけましておめでとうございます。皆さん、お正月はいかがお過ごしでしたか。さて、当院ではリウマチ膠原病教室や、入院中の指導をチームで行っています。

 

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心配等がある方はスタッフに気軽に声をかけてください。

ところで、今回は膠原病に必要な検査についてまとめてみました。是非一度目を通してください。

膠原病に必要な検査について

文責 医師 大西

当院に初めて受診した方は、最初検査が多いと思った方も多いと思います。なぜ検査が必要なのでしょうか。また、どんな検査が必要なのでしょうか。

  1. まず、必要な検査には
    血液検査
  2. 尿検査
  3. レントゲン検査(胸・骨・CT等)
  4. 生理検査(心電図・腹部エコー・甲状腺エコー・心エコー)
  5. 等があげられます。

これらの検査の目的は

①膠原病であるかどうかの診断のため。
膠原病は、免疫の異常から生じてくる全身の病気です。すなわち、血液検査により貴方の体に免疫の異常があるかどうかをみる必要があります。また、現在の貴方の全身状態を知るために、血液・尿・レントゲン・生理検査を行います。

②膠原病の状態を知り、治療方針を決めるため。
膠原病の進行度、重症度を判断し、治療方針を決定します。

③治療の効果をみるため。
治療がうまくいっているか、薬が予想通りの効果を発揮しているか等の判断の資料になります。これは、定期的に行う必要があります。

④薬が合うかどうかの判断のため
まれに薬が合わないことがあります。これを早く察知するため尿検査、血液検査、胸レントゲンなどで経過を診ます。
等です。目的に合わせていろいろな検査を組み合わせて行っています。

膠原病は慢性の病気です。長い目で病気と向き合っていかなければなりません“慢性”という言葉の響きだけでショックを受けた人もおられると思いますが、病気を理解しうまく病気とつきあっていけば恐れることはありません。
我々スタッフは、その手助けをしていきます。そのために自分の状態を知り、治療をいっしょに続けていきましょう

 

今回は血液、尿検査についてさらに詳しく説明しましょう。

血液検査について

①炎症の検査
免疫の異常により身体のいろいろな部分で戦争が起こっている状態(それを炎症と言います)
が膠原病の本態です。その炎症の指標となるのが
1)血沈
2)CRP(シーアールピイ)
です。CRPの方が鋭敏です。
特に慢性関節リウマチの患者さんでは、病気のコントロールの指標として重要です。

②白血球数、貧血
白血球(WBC)は体を防御するための働きを持っており、炎症や細菌感染によって増加します。
リウマチの患者さんでは増加していることが多く、SLE(全身性エリテマトーデス)の患者さんでは、
低下することが多いです。
貧血は、赤血球数(RBC),血色素(Hb)等にて判断します。
出血などによる鉄欠乏性貧血、慢性炎症による貧血、SLEの患者さん等にみられる
溶血性貧血などの鑑別をします。

③肝機能
肝臓が悪くないかどうかをみます。
薬剤性肝障害、肝炎、脂肪肝などで異常がみられます。
GOT・GPT・ALP・LDHなどは肝臓の細胞が壊れたときに血液の中に増えてくる酵素で、
この値が増えると肝障害があるといいます。

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④腎機能
腎臓の機能をみます。
BUN(尿素窒素)・Cr(クレアチニン)などの検査があります。
しかし、この検査で異常がでてくるのは、腎機能が50%以下に低下してからで初期は、
わからないことがあります。
尿検査やその他の検査を総合して判断する必要があります。

⑤脂質検査
T.cho(総コレステロール)、TG(中性脂肪)等により、動脈硬化の予想がつきます。
特に女性は、閉経後上昇する事が多く要注意です。関節痛などによる運動量の低下、
ステロイドホルモンによる食欲増加や脂質代謝の増悪などにより上昇する人も見られます。

⑥免疫グロブリン
抗体として働くタンパク質で血液の中に流れています。膠原病では免疫反応過剰に
なっているため増加します。
特にIgG,IgM,IgAという蛋白の量が重要です。

⑦自己抗体
自分自身すなわち自分の細胞(特に核や細胞質)に対して作られた抗体を言います。
元来自分を守るために作る武器(抗体)が、免疫の異常により自分自身を攻撃するようになって
しまったものです。
この中には、

リウマチ因子・・・慢性関節リウマチで 80%前後にみられます。

抗核抗体・・・細胞の核に対する抗体
種々の抗体がみられ、血液検査によりさらに詳しく検討可能です。

⑧尿検査
腎障害の評価として大変重要な検査です。
1)尿蛋白
膠原病の中には、腎炎をおこすタイプがいろいろあります。
一回の尿だけではなく、一日の蓄尿での尿蛋白などにより、腎臓の状態を予測します。
薬が合わない時も蛋白がでることがあります。
2)尿糖
糖尿病などで陽性となりますが、ステロイドホルモンの影響で、食後過血糖となったときにもみられます。
3)尿潜血
腎臓、尿管、膀胱などどの部位の異常でも潜血はでます。
他の全身状態や、症状などにて総合的に判断します。

以上簡単に述べましたが、わからないところがあったら是非、スタッフや主治医に相談してくださいね。

第二号  平成1314日発行